BSI(英国規格協会)、AIの公平性、整合性を確保するための...

BSI(英国規格協会)、AIの公平性、整合性を確保するための 国際ワークショップのレポートを発表

デジタル著作権の強化に向けたAIシステムに標準化された検証可能性や フィードバックツールの組み込みの重要性が浮き彫りに

本プレスリリースは2024年11月14日(英国時間)に英国で配信されたプレスリリースの抄訳版です。


英国規格協会(BSI)は現在AIに対する信頼の構築に重点を置いており、AI報告ツールの開発における課題と要件を議論するために開催されたワークショップの内容と結論に関するレポートを発表しました。偏ったアルゴリズムやAIが不正確な情報を利用している例など、すべてのAIシステムに標準化された検証可能性やフィードバックツールを組み込むことで、デジタル著作権が強化され、AIが有益なものとしての信頼を高めることができるでしょう。ただし、それはアクセシビリティ、コスト、責任、スケーラビリティ、および苦情を満足のいく形で解決する方法といった課題に対処する必要があります。


BSI(英国規格協会)、AIの公平性、整合性を確保するための国際ワークショップのレポートを発表

BSI(英国規格協会)、AIの公平性、整合性を確保するための国際ワークショップのレポートを発表


BSIが発表した調査によると、技術専門家、学者、消費者権利の専門家などを集めたワークショップを通じて、AI報告や検証ツールを開発する際の課題が検討されるとともに、個々の提供者が設計した仕組みと比べて、これらのツールがもたらす利点についても議論が行われました。さらに、BSIが実施した英国、インド、ドイツ、中国の4,000人を対象とした別の調査によると、62%の人々がAIツールに関する懸念、問題、または不正確さを指摘する標準的な方法を望んでいることが分かりました。


ビジネス改善と標準化を推進する機関であるBSIは、責任あるAIの推進において最前線に立っており、2023年の12月には、初のグローバル認証可能なAIガバナンス基準と認証パッケージ(ISO 42001)を発表しました。AIサービスのプロバイダーはすでに地域ごとのデータとプライバシーの要件に従っていますが、AIが偏った回答を示したり問題のある結果を生み出す場合に、それを指摘する標準化された方法は存在していませんでした。


この調査によると、国際的にAIを活用した業務が複雑であることを踏まえると、責任を分担できることで、すべての関係者が問題に効果的かつ透明性をもって対処できるようになるとされています。さらにAIサービスのプロバイダーにとっても、ツールを改善するためのフィードバックを収集できるほか、問題が特定された場合の反発や評判の低下を回避する手助けになります。またユーザーの信頼を深める戦略にもなります。


著者らは、デジタルリテラシーの異なるユーザーが使えるよう、検証ツールはシンプルで、専門的でない言葉で設計すべきだと助言しています。この問題についての一般の認識を高めることは非常に重要であり、より広範な法的権利についての周知も不可欠です。同様に、問題報告書を誰が受け取るか、誰が損害に対して責任を負うか、ユーザーが期待できる対応の範囲についても明確にする必要があります。

また、ツールが効果的であるためには、検証内容が秘密に保たれ、報復を避けることができるようにする必要があり、独立して、公正で、常に一貫して評価されることが重要です。さらに、必要な場合は、報告に基づいて実際に技術的な改善が行われ、問題が解決される可能性があることが保証されなければなりません。


BSIのグローバル・デジタル・ディレクターであるMark Thirlwellは次のように述べています。

「AIは社会を変革し、医療の提供、住宅の建設、食糧の生産など新しい方法を提供する可能性があり、さらに多くのことを達成する力を持っています。しかし、この可能性は、AIの安全で倫理的な使用を保障するためのガードレールが整備されているというユーザーの信頼によって支えられなければなりません」


信頼の構築に重点的に取り組んできた結果、検証可能性に関する研究を行い、標準化されたアプローチがもたらす利点を調査しました。この分野には多くの課題が存在しますが、全てのAIシステムにこのようなツールを組み込むことが、デジタル著作権を強化し、AIが社会に役立つ存在となるための信頼を築く一助となることは間違いありません。BSIは、企業がAIを積極的に活用し、すべての人にとってポジティブな未来を創造するための対応を世界規模で促進する役割を果たすために尽力しています。

AI開発の国際的な性質、情報通信技術(ICT)が深くつながり合い、大手企業が中心となって、複数のツールが一緒に使用されることが多くあるため、AIがどのように機能しているかを明らかにするなど責任をもつことがとても複雑であることが調査で明らかとなっています。提起されている問題には、一部の人々が基準を遵守する一方で、他の人々はそうでない場合や、プライバシー制約によりAI提供者が必要なデータにアクセスできないという制限が含まれます。場合によっては、特定のAI機能の変更がプロバイダーの手に負えないこともあります。


標準化されたツールに対するその他の障壁としては、透明性と公開報告を受け入れることによる評判への影響、検証可能性が悪用されて企業の評判を傷つけるケースも考えられます。異なる管轄区域(異なる国、州など)にわたってどのように権利を守るのか、責任問題、AIの進歩への対応などが挙げられます。コストを最小限に抑えるため、AIによる自動化で検証可能性の優先順位付けを行うという提案がありました。


この調査では、ツールに求められる特徴についても考察しています。その中には、システム的な問題に対処するためにより効果的な共同または集団的な請求を可能にする仕組みがあります。他の機能として「バイアス・バウンティ」という仕組みが提案されています。これは、AIが誤った動きをしたり偏りがあったりする問題を発見した人に金銭的な報酬を与えるものです。さらに、AIを使ったフィードバックの整理や倫理的な基準を含む「原則憲章」を設けるアイデアもあります。


レポートの詳細はこちらをご確認ください。

https://www.bsigroup.com/en-GB/insights-and-media/insights/whitepapers/contestai-workshop-report/



■BSI(英国規格協会)とBSIグループジャパンについて

BSI(British Standards Institution:英国規格協会)は、ビジネス改善と標準化を推進する機関です。設立以来1世紀以上にわたって組織や社会にポジティブな影響をもたらし、信頼を築き、人々の暮らしを向上させてきました。現在190を超える国と地域、そして80,000社以上のお客様と取引をしながら、専門家、業界団体、消費者団体、組織、政府機関を含む15,000の強力なグローバルコミュニティと連携しています。BSIは、自動車、航空宇宙、建築環境、食品、小売、医療などの主要産業分野にわたる豊富な専門知識を活用し、お客様のパーパス達成を支援することを自社のパーパスと定めています。気候変動からデジタルトランスフォーメーションにおける信頼の構築まで、あらゆる重要社会課題に取り組むために、BSIはさまざまな組織と手を取り合うことによって、より良い社会と持続可能な世界の実現を加速し、組織が自信を持って成長できるよう支援しています。

BSIグループジャパンは、1999年に設立されたBSIの日本法人です。マネジメントシステム、情報セキュリティサービス、医療機器の認証サービス、製品試験・製品認証サービスおよび研修サービスの提供を主業務とし、また規格開発のサポートを含め規格に関する幅広いサービスを提供しています。

URL: https://www.bsigroup.com/ja-JP/

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