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ベイン・アンド・カンパニー、Global M&A Report 2025を発表  2025年、回復が期待されるグローバルM&A市場

企業動向
2025年2月12日 11:00
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ベイン・アンド・カンパニー(以下 ベイン、所在地:東京都港区赤坂)は、『Global M&A Report 2025 ( https://www.bain.com/insights/topics/m-and-a-report/ )』を発行しました。本レポートでは、過去3年間にわたり低迷していたグローバルM&A市場が、2025年にはいよいよ回復を迎える可能性を示しています。昨年は緩やかな回復が見られましたが、過去3年間の逆風により取引が停滞した結果、世界のGDPに対する取引額の割合は歴史的に低水準に留まっています。一方で、2025年には、M&A市場の停滞を招いていた二大要因である高金利と規制の壁が緩和される兆しが見られます。本レポートでは、「テクノロジーの変革」、「ポスト・グローバリゼーション」、「利益プールの変化」がM&A市場の新たな成長を促し、企業にとってM&Aおよび事業売却が重要な戦略ツールとなることを指摘しています。また、生成AIの導入が進み、2025年末までにM&A実務担当者の3人に1人が生成AIを活用するようになり、今後5年間で生成AIがM&Aにおけるプロセスのあらゆる段階で活用されるようになると予測しています。



●回復の背景

M&Aへの本質的な需要は依然として高いものの、市場の動きは鈍い状態がまだ続いています。企業がリスクとリターンのバランスを取りながら成長の道筋を模索する中で、M&Aは経営戦略の中核となっています。不安定な経済見通し、サプライチェーンの混乱、地政学的緊張が続く中、金融投資家も資金を投じる機会を積極的に探しています。

また、戦略を見直す事業会社や流動性の確保を迫られるプライベート・エクイティ(PE)、及びベンチャーキャピタル(VC)など、市場が回復しバリュエーションが上昇すれば売却を検討できる資産を複数持つ企業が数多く存在しており、売却対象候補も既に多数市場に存在しています。

今後、テクノロジーの革新は、長期的に最も大きな戦略的変革をもたらし、M&Aを促進する要因となります。生成AIをはじめとするAI、オートメーション、再生可能エネルギー、量子コンピューティングなどの技術は、企業が競争力のある製品・サービスを維持しコスト優位性を確保するために、自社開発またはM&Aを通じて獲得する必要があります。テクノロジー企業だけでなく、非テクノロジー企業も、事業を進化させるために引き続きテクノロジー関連のM&Aを積極的に模索すると見込まれます。

ポスト・グローバリゼーションとプロフィットプール(当該市場において企業が生み出す利益の総和)の変化も、引き続きM&Aを促進する要因となります。経営層は、自社のグローバル展開を再評価し、魅力的な市場へのアクセスと安定した供給網の確保を目指すとともに、変化するプロフィットプールに適応する戦略へとシフトする必要があります。



●M&Aにおける生成AIの活用

ベインが300名以上のM&A実務担当者を対象に実施した調査によると、現在21%がM&A業務に生成AIを活用しており、1年前の16%から増加しています。2025年末までには3人に1人が利用する見込みです。また、積極的に買収を行っている事業会社やPEファームほど、より高い割合で生成AIが導入されていることが分かっています。

現在、最も一般的な活用方法は、案件の発掘や評価に関するものですが、今後5年間でM&Aにおけるプロセスのあらゆる段階に生成AIが活用されるようになると予測しています。

早期に導入した企業はより迅速に優れたインサイトを得ることで競争優位性を確立していますが、対照的に、導入が遅れた企業は有望な案件を他社に奪われ、価値の低い案件に時間を費やしてしまう可能性があります。ただし、まだ手遅れではありません。

早期に導入した企業は、生成AIを活用して案件の発掘、スクリーニング、デューデリジェンスを加速させるだけでなく、統合計画や事業売却の戦略策定、プログラム管理にも応用し始めています。今後1年以内に、早期に導入した企業が統合計画や移行サービス契約(TSA)の作成時間を従来の20%以下に短縮できるようになるとベインでは予測しています。

さらにその次の段階として、生成AIを活用して企業の具体的なデータにアクセスし、実現可能なコスト・収益シナジーの算定や、過去の買収実績に基づいた価値創造計画の策定が進んでいくことが予測されます。



●業界別動向

Global M&A Report 2025では12の業界別、日本を含む10地域別の戦略的買い手の取引動向を解説しています。業界別の各章の目次の抄訳は以下の通りです。

1. 航空宇宙・防衛:既存企業は豊富な資金を持つ新興勢力にいかにして対抗するか

2. 自動車・モビリティ:不透明な未来に備え、リスク分散を図る戦略

3. 建築資材・テクノロジー:未来を形成するための取引

4. 消費財:成長を促すための事業分割

5. エネルギー・天然資源:記録的な年にM&Aの経済効果を最大化する方法

6. 金融サービス:市場回復の兆し

7. ヘルスケア・ライフサイエンス:新たな現実に適応できる企業が成功する理由

8. 機械・設備:優れた企業から学ぶ

9. メディア・エンターテインメント:消費者、IP(知的財産)を掌握するか、何も得られないか

10. 小売:回復の兆し―今後も拡大が続く見込み

11. テクノロジー:収益とコストのシナジーを同時に実現する戦略

12. 通信:最新の取引動向を解説



●2024年の日本のM&A市場は記録的な成長

依然緩やかな成長を示すグローバルM&A市場と比べ、日本のM&A市場は2024年に1,740億ドル、前年比34%増の記録的な成長を達成しました。そのうち戦略的買い手による取引は、1,430億ドルに達し、前年比で71%の大幅な増加を記録しました。

この成長の背景には、同意なき買収のガイドラインの明確化や、東証による上場企業へのPBRを1倍以上への引き上げ要請等、日本政府や関係当局がM&Aを価値創造の中核ツールとして促進していることが挙げられます。2024年、日本の資産に対する国際的な関心は依然として強く、例えばアリマンタシォン・クシュタールによるセブン&アイ・ホールディングスの買収(584億ドル)やボッシュ、ジョンソンコントロールズによる日立空調の買収(35億ドル) などの大型のディールが発表されました。この傾向は今後も続くと予想されています。また、低金利や、コングロマリット企業に特に多くみられるマルチプル向上の機会を背景として、PE投資家、エンゲージメントファンド、アクティビストが引き続き日本市場に対し大きな関心を示しています。



●プレスセミナーのご案内

本レポートの内容に加えて、2025年のグローバルおよび日本のM&A市場の展望をベイン東京オフィスのパートナーである大原 崇が解説するプレスセミナーを4月16日にオンラインで開催予定です。


大原 崇

大原 崇


セミナー内容(予定)

・グローバルM&A市場の傾向(スコープディールの増加トレンドがスケールディール増加に転じた背景、政府の規制の影響など)

・日本のM&A市場の動向(日本企業をターゲットとする大型取引やPEファンドの動向など―取引金額と件数から分析する日本のM&A市場動向)


詳細のご案内開始は3月を予定しております。ご案内をご希望の方は下記までご連絡ください。



【本件についてのお問い合わせ先】

ベイン・アンド・カンパニー マーケティング/広報

Tel : 03-4563-1103

Mail: marketing.tokyo@bain.com



【ベイン・アンド・カンパニーについて】

ベイン・アンド・カンパニーは、未来を切り開き、変革を起こそうとしている世界のビジネス・リーダーを支援しているコンサルティングファームです。1973年の創設以来、クライアントの成功をベインの成功指標とし、世界40か国65都市にネットワークを展開しています。クライアントが厳しい競争環境の中でも成長し続け、クライアントと共通の目標に向かって「結果」を出せるように支援しています。私たちは持続可能で優れた結果をより早く提供するために、様々な業界や経営テーマにおける知識を統合し、外部の厳選されたデジタル企業等とも提携しながらクライアントごとにカスタマイズしたコンサルティング活動を行っています。また、教育、人種問題、社会正義、経済発展、環境などの世界が抱える緊急課題に取り組んでいる非営利団体に対し、プロボノコンサルティングサービスを提供することで社会に貢献しています。


商号  : ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド

所在地 : 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー37階

URL   : https://www.bain.co.jp

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